砂防堰堤により形成された湿地状地形による山地渓流水の水質変化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
山地渓流水が小規模な砂防堰堤により形成された湿地状地形(堆砂地)を通過する際の水質変化を評価した。山地渓流水は堆砂地を通過する際, pH, Na^+, K^+, Ca^<2+>, Si, SO_4^<2->-S, NO_3^--N濃度が有意に低下した(Ca^<2+> : p<0.05,pH, Na^+, K^+, Si, SO_4^<2->-S, NO_3^--N : p<0.001)。これらと異なり, Cl^-は有意に増加した(p<0.05)。また, 堆砂地水位の低下に伴い, pH, EC, Na^+, Si, Ca^<2+>, SO_4^<2->-S, NO_3^--N濃度はより大きく低下した。水位の低いときは渓流水の流速が遅く, 堆砂地との接触時間も長いため堆砂地で水質変化をより大きく受けることが考えられた。表層に部分的に存在する腐植化の進行した個所でpH, 溶質濃度の低い土壌水が形成され, それらが渓流水に混入することで, 渓流水のpH, 溶質濃度の低下が引き起こされることが示唆された。
- 日本森林学会の論文
- 2000-05-16