ヒノキ幹の加齢によるSeiridium unicorne感染に対する抵抗性増大の要因
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概要
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ヒノキの加齢に伴う樹脂胴枯病に対する抵抗性増大の要因を解明するため、9年生ヒノキの幹部高3、2、1mの部位(それぞれの齢は2〜3、3〜5、5〜6年)にSeiridium unicorneを接種して感染の有無および発病の程度と齢との関係を調べた。付傷のみの対照では皮層あるいは師部の表層における壊死部形成にとどまった。無傷接種では高さ3mの部位に感染および樹脂の流出が生じたが、高さ1、2mの部位ではいずれも生じなかった。有傷接種では高さ3mの部位でやにつぼ形成が最も多く、樹脂流出が生じた。しかし、高さ1、2mの部位では感染、発病した場合も樹脂流出は見られなかった。これらの結果は、感染前に形成されている外樹皮が加齢による感染の低下にとって大きな要因であること、齢の高い部位では病斑に樹脂流出が伴わないことを示唆する。解剖学的観察により、齢の高い部位では感染後新たに形成された外樹皮が病斑の拡大を阻止することが明らかとなった。齢の高い部位では師部内での病斑の拡大程度が小さいこと、病斑が拡大した場合のやにつぼ形成率が少ないことも示された。
- 1995-01-01
著者
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