特定樹種の樹幹流による土壌の酸性化抑制作用(II) : センノキ、オニグルミについて
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概要
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樹幹流によりもたらされる土壌の化学的変化は樹幹を中心とした同心円状に拡散するといわれている。しかし, 樹幹流の酸性度およびその溶存成分比は樹種ごとに特有なものであるため, 土壌変化のようすは樹幹流を生ずる樹種によってかなり異なったものであることが想像される。そこで, 長期にわたり樹幹流に曝された土壌の化学分析を通じて, 樹種の違いが土壌変化に及ぼす影響を調べることとした。今回対象となった樹種はセンノキ, オニグルミ, スギおよびコバノヤマハンノキであり, 前二者と後二者は質的に正反対の樹幹流を生産している。その結果, スギおよびコバノヤマハンノキ土壌のpH(H_20)値はかなり小さくなったと同時に交換性塩基が減少したため, 塩基飽和度の著しい低下と交換酸度の急激な上昇がもたらされた。それに対して, センノキおよびオニグルミ土壌はスギやコバノヤマハンノキ土壌とは逆に, 酸性化抑制機能が働き, 土壌の中性化が著しく進行していた。
- 日本森林学会の論文
- 1993-07-01
著者
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