流域内各斜面の水文的特徴に関する研究(I) : ハイドログラフを用いた検討
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概要
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斜面表層土壌水分移動の物理的な支配条件を抽出化していく手法を開発するための基礎研究として, 自然斜面における不飽和場のうち, 不飽和水分が単に伝達されるだけと近似的にみなしうる場である「単純伝達エリアjに着目し, その面積変化をハイドログラフを用いて推定した。推定に用いたモデルは, 単純伝達エリアを基底流出の支配場と捉え, 基底流出は単純伝達エリア内の貯留量の総量の関数とし, 単純伝達エリア内の水収支は基底流出とは独立しており, その入力成分は雨量のみ出力成分は蒸発散のみとした。さらに単純伝達エリア内の貯留量の増減はその面積変化を伴うとした。集水面積が約1.000〜13,000m2の5斜面と2斜面群に本モデルを適用した結果, 流出量の再現性は良好であり, 各斜面における単純伝達エリアの面積変化が推定された。さらに地形図上で単純伝達エリアの形態を検討した結果, 飽和帯および単純伝達エリアは各斜面の低い部分を占める形で存在しているわけではなく, 動的な平衡状態のもとに存在すると考えられた。
- 日本森林学会の論文
- 1990-03-01
著者
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