河床堆積地の時間的・空間的分布に関する考察

概要

論文の詳細を見る
山地上流域において生産された土砂は, 氾濫原を有する河道域に貯留され徐々に流出する。氾濫原堆積地の階段地形は, 出水時の河床上昇とその後の河床低下によって形成され, 段丘面の年代は河畔同齢林によって推定できる。現在の年代別堆積地の分布パターンは, 出水時の土砂移動規模とその後の再洗掘過程によって特徴づけられる。河床堆積地の諸元に関する年代分布を作成すると, 流路変動に伴う侵食傾向を表す堆積地総延長の年代分布は漸減的傾向, 形成時の洪水規模の違いを表す平均堆積厚は漸増的傾向, 平均堆積地幅は年代によってそれほど変化しないという一般的特性を読み取ることができる。そこで, 総延長に関する年代分布の定常性を仮定し, 平均滞留時間, 区間当たりの年間洗掘量を算出したところ, 二つの特性値は流域特性をよく反映していることが明らかになった。最後に, 本論で示した年代解析の妥当性を検討するため, 空中写真判読による河床堆積地の面積変化を調べたところ, 解析による値とほぼ同程度の値が得られた。
1990-03-01