林内におけるオペレータの適切な車両走行操作と車両の走破性
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概要
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車両系機械を用いた集運材作業を行う場合には、緩斜地では車両を路外地へ進入させ伐倒木の近くまで迅速に到達することが、作業の功程を向上させるためには有効であるが、車両を操作するオペレータの林況判断および対処のしかたの適・不適によって車両の林内走破性は大きく異なる。本研究においては、車両のオペレータが行う林内の状況の把握と判断をモデルによって数量的に表すことを試み、さらにそのモデルを用いたシミュレーションによって林内の地表障害物や林地の傾斜に対してどのように注意を払うことが有効であるかについて検討した。モデルは、七つの因子の一次結合によって構成された。当該モデルによって、車両の林内走行を再現することを試み、実走行との軌跡の差が最も小さくできたモデルを、オペレータが行う林況判断を表す数理モデルとした。モデルは、オペレータの林況判断およびそれに対する車両操作を、立木の迂回と地表傾斜による登坂能力の低下について着目して組み上げたものである。モデルのパラメータを変化させつつ行ったシミュレーションの結果、オペレータは車両が直進できる距離が長く、立木の密度が小さく迂回操作の頻度が小さい方向へ林地傾斜を考慮しながら重岡を進行させていると推測することができた。また、目標点へ早く到達することを必要以上に心掛けなくても、立木密度の小さい方向へと適切に車両を進行させることによって、平均的な林内走行速度を向上させることが可能であって、林内走破時間は8%ほど短縮できると推測された。このシミュレーションによる検討は、モデルの正確さおよびシミュレーション手法の正当さによるところが大であり、データ・試行数がI1分に大きいとはいえない本検討においては、林内走行を効率よく行うための指針の一つの案を提示するにとどまる。しかし、人間の認識・判断の影響を受ける作業においては、このようなモデルを用いた方法を用いることによってはじめて検討が可能となるといえよう。
- 日本森林学会の論文
- 1989-05-01
著者
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