禅と宗教哲学(<特集>第六十三回学術大会紀要)
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概要
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禅と西洋哲学との出会いから成立した日本の哲学として西田幾多郎と西谷啓治の哲学をとりあげ、どのような哲学が生まれ、その哲学において宗教がどのように理解されたか、そしてそのような哲学と宗教理解の特色と現代世界に対してもちうる意義を解明考究することを課題とする。元来禅と西洋哲学は単純に並べられるものではない。非思量の行である禅と高次の反省として西洋思想の動脈をなしてきた哲学との間には、質的な断絶がある。その裂け目に身を置いた西田と西谷において西洋哲学とは思索の性質を異にする哲学が成立した。西田で言えば、「実体」に代わって「場所」、「同一律」の基礎に「矛盾的自己同一」、「主観・客観」図式に代わって「主客相反するものの主客未分のところからの統一」、理性と感性の峻別ではなく、感性の中に働く理性、「神」の底に「絶対無」、近代的な「絶対的自我」ではなく「自己ならざる自己」。禅に触れたところからこのような哲学が成立する過程において、世界への禅の道を「禅思想」として開いた鈴木大拙の同道があった。以上のことは具体的な詳論を要する。
- 2005-03-30
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