清沢満之の宗教哲学における転化論
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概要
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本論の主題は清沢満之(一八六三-一九〇三)の宗教哲学における「転化」の意味を探ることである。まず、『宗教哲学骸骨』において、「転化」は相対有限の領域(万法)における因縁果の法則である。ただ、有限と無限の間にいかにして「転化」が成立可能であるのか、ということが根本問題となる。しかし、『他力門哲学骸骨試稿』においては、「絶対無限」が有限者を無限へ戻すために自らの無限なる本性を棄て(棄却)、相対的領域の中に入り、「相対無限」となって、有限と無限の転化の関係を可能にする。相対的関係においては、とりわけ、「主伴互具」が本体の次元における関係であり、Aを主(有)と見るとき、他の全ての物は伴(無)になり、Bを主(有)と見るとき、他の全ての物は伴(無)となる。「転化」とは、絶対者と相対者、そして相対者同士が有から無へ、無から有へと転ずることである。
- 日本宗教学会の論文
- 2004-06-30
日本宗教学会 | 論文
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