シュトラウス『ドイツ民族のためのイエス伝』における神話概念
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概要
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シュトラウスのイエス伝はー八三五年に出版され、第四版まで改訂されたが、初版から三〇年後、ルナンのイエス伝が出版された翌年に、シュトラウスは『ドイツ民族のためのイエス伝』を著し、あらためて神話概念を規定しなおしている。新たなイエス伝では、イエスの奇跡を描く福音書の物語をそのまま史実と考えるべきではなく、むしろ原始教団が有していたメシア期待に由来する創作、すなわち神話と見なすべきだという論点が再確認される。また、以前は別に扱われていた「意識的な創作」も神話と分類されており、神話概念が覆う範囲がより拡張されている。新たなイエス伝においては、当時の神話研究を念頭に置きつつ神話概念が自覚的に検討されており、さらに読者として「教養市民層」が想定されていることからも、キリスト教を相対化する宗教学的な方向性が予感されるのである。
- 日本宗教学会の論文
- 2003-12-30
日本宗教学会 | 論文
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