気管支鏡における教訓的事例
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概要
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事例12 気道ステント挿入が困難であった例 56歳男性で, 診断は右上葉気管支発生扁平上皮癌, 臨床的病期分類はcT4(気管分岐部)N2(#2,3,4)M1(pm2)であった. 1999年10月診断され, CDDP+TXT, 66Gyの放射線化学療法が施行された. 2000年5月より腫瘍の再増大のため, CPT-11の化学療法と気管支内腔に増大した腫瘍に対しYAG Laserでの焼灼とエタノール注入が行われた. 気道確保を目的としてDynamic stent挿入を依頼された. 胸部CTでは気管と#3の転移リンパ節は気管支壁が壊死を来したため交通し, 気管分岐部から右主気管支にかけて壁外に約2cm大の空洞が形成されていた. 左右主気管支に閉塞はなかった. 2000年6月5日, 全身麻酔マスク換気下に, 直径18mm, 気管4.5cm, 左右脚2.5cmの大きさのDynamic stentを型通り鉗子で把持し, 声帯を通して透視下に気管内に挿入した. 分岐部直前まで挿入したところで, 抵抗があったために, ステントを気管内にとどめ, 把持鉗子を抜去して換気を行った. しかし換気量がとれず, 経口挿管するも換気困難となったため, 気管切開を行い, ステントを抜去し気道を確保した. ステント内には出血, 喀痰が付着していた. 施行中心拍数40, SpO_2 40%まで低下したが, 後遺症なく回復した. ステント挿入を断念し, 気管切開チューブで気道確保を行った. 術後16病日, 肺炎のために死亡した. 換気不全の原因として, 気管内にステントを留置した際, 喀痰, 出血のため, ステント腔内を通しての換気ができなくなったと思われた. 対策としては, 気管内にステントを留置せずに, 一気に分岐部まで挿入し左右主気管支に固定すべき, あるいは気管に留置せずに, 体外まで抜去すべきであったと思われた. さらに摘出のために硬性気管支鏡を用意しておくべきであったと反省させられた. <教訓>一つ一つの事例に対して総括と反省を行う姿勢が, 経験の積み重ねという意味では非常に大事なことである.
- 2005-01-25
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