演奏構築における音楽表情の形成過程に関する研究(AI応用)(<特集>人工知能分野における博士論文)
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概要
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本研究は,クラシック音楽に見られるような「再現演奏」を行う奏者が,作品に対する内的感動をより良く表現できるようにすることを目的とする.まずピアノレッスンのケーススタディを行い,生徒の演奏データ(MIDIデータ)を生徒のブラインドによる主観評価と照らし合わせた分析を試みた.その結果,主観評価では明示されていない生徒の音楽的理解度や技術習得上の問題点を推定することができた.次に,MIDIシーケンスデータの「2段階式作成システム」を構築し,音楽表情に関わらない「音高の再現」をシステムが直接に支援することで,音楽表情の表出を間接的に支援できることを示した.さらに,このシステムを応用して誰でもすぐにピアノ連弾ができる「Family Ensemble」を提案した.また,複数の奏者による演奏構築支援を目的に,ピアノ連弾の練習中の対話で使用された「楽器奏」の機能を基盤化の理論を用いて分析した.本論文では,奏者に対しての何らかの支援を目的としているが,音楽表情を高めることを阻害するような行き過ぎた支援を行わないように特に配慮している.そのためには「音楽」を知るとともに,多くの分野の学問を結集させることが必要であった.このように本論文は,各分野の知識を結集した知識科学的なアプローチによって,演奏構築における音楽表情の形成過程の解明と支援に取り組んだ最初の試みとして位置づけられよう.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 2005-01-01
著者
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