情報創出の初期段階における思考活動のための理論的枠組みとインタラクティブシステム(問題解決支援環境)(<特集>人工知能分野における博士論文)
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概要
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本研究は, ドキュメントの構築や情報理解の外在化といった情報創出, 特に, システムとユーザの思考過程とのインタラクションの重要性が顕在化する比較的初期の試行錯誤において, 最終的に生成すべき情報プロダクトを直接的に構成するための外在化表現ではなく, 特に初期段階において創り手が内省するために有用な外在化表現のプロセスをインタラクティブシステムにより支援することを目指す.本論文ではそのための枠組みとして, "Representational Talkback"という概念とその増幅(ART : Amplifying Representational Talkback)を提案する.Representational Talkbackとは, 情報創出活動中に創り出された情報やアーティファクトとして表出したものから創り手である人間へと語りかけられるフィードバックである.この枠組みに基づき, テキストドキュメントの作成, メモ画像へのアノテーションをまとめる作業, ビデオ分析, という三つの問題領域に適用したシステムを設計, 構築した.これらのシステムの設計においては, 1)情報創出プロセスにおけるプロダクトの個々の部分を構成する要素(マルチメディアデータやテキストオブジェクト)を編集するための場, 2)個々の構成要素を二次元空間に配置しながら操作するための場, 3)構成要素を結合した形で創りつつあるプロダクトを見るための場, という三つの情報空間を統合的に提供することを指針とした.これらの情報創出支援システムの設計と構築とを通して, 情報創出を行う創り手自身が作成した外在化表現の重要性, その創り手自身が外在化表現に見いだす意味の有用性, その外在化表現が情報創出における理解にもたらす効果, について探ることができた.本論では, 情報創出支援環境ARTの意義について述べ, HCIにおける記号論的アプローチの知見を利用しながらARTの再解釈を試みた.そして, ARTを一例としたHRI(Human-Representation Interaction)に関する研究の必要性について展望を行った.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 2001-11-01
著者
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