非標準的なヒューリスティック評価関数を用いた実時間探索法
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概要
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本論文では, 実時間探索の総合的な問題解決アーキテクチャとしての側面に着目し, その性質のうち1.非標準的な評価関数, および, 2.学習過程の分析, の二点を主題に議論した.1, 2章の導入部に引き続き, 3章では, 代表的な実時間探索法であるLRTA^*法の収束性の新しい証明法を提案した.既存の手法とは異なり, 本手法はLRTA^*のもう一つの特徴的な性質である完全性の証明法を拡張することによって導かれる.この手法は, さらに後続の章における各種アルゴリズムの性質を論ずるために有用となる.4章では, 過大評価した評価関数を用いた状況での, 実時間探索法の評価を行った.そのような状況では, 一般にアルゴリズムの最適解への収束は保証できないが, 収束解の質の悪化の程度は, 初期評価関数の過大評価の程度から予測可能となる.5章では学習過程における過渡解の不安定性を論じた.既存の実時間探索法が持つ弱点, すなわちexploration(新しい情報を収集する作業)と, exploitation(過去に蓄積した知識に基づいて行動すること)の適切なバランスをとることができないことが, 過渡解の不安定性という現象として現れることを示し, この欠点を克服するために, 下界値に加え上界値を維持管理する新しい実時間探索法を提案した.6章では, 一貫性を満たさない評価関数が, 移動目標探索法に与える影響の分析を行い, 特に評価関数が過大評価する場合についても移動目標探索は完全であることを示した.最終の7章では今後の展望, および結論を述べている.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 2000-11-01
著者
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- Mitchell, D. G., Selman, B. and Levesque, H. J. : Hard and easy distributions of SAT problems. In Proc. AAAI-92, pp.459-465 (1992).