音声認識のためのPGLRパーザに関する研究
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概要
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本論文は, 自然言語処理における構文解析手法であるPGLR法(確率一般化LR法)を音声認識の分野に適用することを論じたもので, 5章からなる.第1章「序論」では, 本研究の背景と目的を述べている.近年の計算機による音声認識は, 音響モデルと言語モデルを組み合せた統計的手法を用いて音声を単語列に変換する枠組に基づいている.その結果は構文的な情報を十分に反映したものとなっていない.本研究では, 音声認識と構文解析を同時に行なうHMM-LR法への組み込みを考慮した言語モデルとして, PGLRモデルを拡張したPGLR^+と呼ぶ確率言語モデルを提案している.第2章「種々の確率言語モデル」では, 音声認識で用いる確率言語モデルについて概観し, PGLR^+モデルの必要性および利点について述べている.第3章「PGLR^+言語モデル: 複数の接続制約を扱うためのPGLR法の拡張」では, 音素や細品詞の接続制約を同時にLR表に組み込むための手法を示している.第4章「PGLR^+言語モデルのperplexityによる評価」では, ATR音声対話コーパスをPGLR^+パーザで構文解析し, テストセットperplexityをbigramモデルやtrigramモデルと比較している.PGLR^+モデルのperplexityはbigramモデル, trigramモデルの値より小さくなり, 本言語モデルの有効性を確認している.第5章「結論」では, 本研究で得られた成果を総括している.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 2000-11-01