繰り返し連続化囚人のジレンマゲームによるマルチエージェント系の解析
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概要
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本論文の目的は, 中間的な意思決定を扱うことができるように従来の繰り返し囚人のジレンマゲームを拡張した「繰り返し連続化囚人のジレンマゲーム」というエージェント間インタラクションの新しいモデルを提案し, マルチエージェント系の解析に対するその有用性を示すことである.そのために, 提案するゲームを用いて, マルチエージェント系の動的な振舞い, 特に集団への侵略という観点からそのプロセスを解析し, 中間的な意思決定の有利性を明らかにする.はじめに第1章で本研究の背景と目的を述べ, 第2章では繰り返し連続化囚人のジレンマゲームを定式化する.以降, このゲームにおける戦略をエージェントと同一視する.第3章では, 戦略の有利性の評価基準として侵略という概念を導入し, 解析的手法による中間的な手をとる戦略の有利性を明らかにする.第4章では, 侵略という概念を時系列的な過程と捉えて拡張し, クラスタによる侵略および集団としての侵略を解析することにより, 侵略の過程における中間的な手をとる戦略の有利性を明らかにする.また, 特にクラスタによる侵略の解析結果を検証するために, 具体的な構造をもつ領域的な系におけるシミュレーションを行った結果との一致性を考察する.最後に第5章で, 本研究をまとめ, 今後の課題に言及する.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 2000-11-01