「棒」入力システムのためのジェスチャ認識の実現 (<特集>ヒューマンインタフェースとインタラクション)

概要

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我々は数年前から「棒」が使えるインタフェース環境を構築することを目指して研究を続けてきた. 「棒」入力システムでは, 青と赤に色分けされた「棒」の動きをカメラでとらえ, 動画像処理を施して「棒」の軌跡を抽出し, 軌跡パターンを認識・理解をすることで, 「棒」の動きにこめられたジェスチャの意味を理解している. しかしながら, 「棒」入力システムの構築作業を行う中で, システムの反応の遅さ, 「棒」振りの速度に関する制約の強さ, およびジェスチャの認識精度の低さなど種々の改善すべき点が浮き彫りになってきた. これらの問題点を解決するために, 本論文では, ボトムアップ的処理(画像処理, パターン認識処理)の改善を図るとともに, トップダウン的な制約, 特に, ジェスチャで使用する言語の文法規則に工夫を施すことを行う. すなわち, ジェスチャ言語としては, 使用目的に合致し使いやすく, かつ, 言語の文法的制約によりジェスチャ認識処理の精度向上が望めるものを設計する. まず, 「棒」の動きを止める動作「停止」を始点と終点に置くという言語の設計をすることにより, 一文字単位の切り出し精度の向上を図るとともに画像処理や認識処理効率化を図る. 次いで, 認識に有効な特徴(方向特徴, 特異点)と「停止」という区切り情報を統一的に扱うことを可能にする, 「棒」の軌跡の(時空間上での)標本化方式を新たに提案する. この方式の導入により, 「棒」の移動速度の変動に強く対処できる正確な特徴抽出と区切り記号の抽出が可能になる. 最後に, 新たな検討のもとに構成した「棒」入力システムは, コマンド入力として有用であることを示す. 特に, 手が不自由なユーザの入力手段として,その応用が大いに期待できる.
社団法人情報処理学会の論文
1999-02-15

「棒」入力システムのためのジェスチャ認識の実現 (<特集>ヒューマンインタフェースとインタラクション)

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