グラフの変形を用いた偏導関数の計算過程の導出
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概要
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従来,偏導関数値を必要とする数値計算には数値微分法が用いられてきた.この方法では,一つの関数のすべての偏導関数値が,変数の数に比例する回数の関数の計算によって得られる.最近,計算グラフを用いた自動微分法が提案され,一つの関数のすべての偏導関数値が,変数の数によらずに,関数自身を計算する計算量のたかだか定数倍の計算量で求められることが示された.しかしこの自動微分法を用いても,複数の関数のすべての偏導関数値を計算する場合には,関数の数または変数の数に比例する計算量が必要になる.そこで本論文では,自動微分法よりも少ない計算量の計算過程が得られる方法,すなわち,計算グラフとは別に要素的偏導関数値を辺に持つグラフ(随伴グラフ)を導入し,その随伴グラフを変形する操作を繰り返すことによって偏導関数の計算過程を順次計算グラフに追加する方法を提案する.まず,従来の自動微分法に対応する随伴グラフ上の算法を基本算法として定義し,基本算法を施したときに計算グラフに追加される計算過程の計算量を評価する.次に,随伴グラフに対する基本変形を定義し,基本算法を直接施した場合と基本変形を施してから基本算法を施した場合について,追加される計算過程の計算量を比較する.この評価を用いて,一連の基本変形を施す方法が基本算法を直接施す方法よりも少ない計算量の計算過程を導出することを示す.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1987-11-15
著者
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