中国語の意味文法の構成とその処理系の作成
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概要
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本論文では, 中国語の意味解析のための文法の構成と, それを用いて統語・意味的曖昧性の解決や, 意味表現のための格構造の抽出を行うシステムについて述べる. ここで定義する意味文法は特定のインプリメンテーションに独立した論理的な情報構造であり, 意味拘束条件に基づく句構造-格構造対応規則と優先規則からなる. 我々は中国語解析について特に重要である「連動構造」(連続する動詞句),「是字句」(「である」),「〜的」(「〜の」), 前置詞句について詳細化した規則を構成した. 意味文法を解釈する系は, 統語解析部で抽出された不完全な句構造(未解明の部分も含む)を入力とし, 文法で規定された意味拘束条件に従って格構造へ変換し, の優先度を計算する. 対象指向のプログラミング手法を導入して, 階層的意味分類の上で整理された一般規則, および単語の個別規則をシステムの中に一様な形で組み込むようにした. 本解析システムでは, 入力文全体の解析を, 各部分の独立な統語・意味解析によりボトム・アップ的に実現する. この処理方式では, 意味解析で得られた部分解析結果の優先度により探索方向を導き, もっともらしい結果を先に得るようなヒューリスティックな解析を実現する. 残りの可能性も保存しており, 先の探索が失敗した場合, 次の選択として提供することができる. 本方式は現在一部汎用計算機上で実現されている. 最初のテストとして, 入力文20例の解析を行ったところ, 第一位選択で70%, 第二位選択までですべての正しい格構造が抽出できた. この実験結果により, 本論文で行った意味処理の有効性が確かめられた.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-02-15