タバコモザイクウイルス感染タバコおよびグルチノーザ葉内のウイルス増殖および核酸合成に対するシトリニンの影響
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概要
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タバコモザイクウィルス(TMV)感染による局部病斑形成を顕著に阻止するシトリニンによって, タバコおよびグルチノーザ葉内のウイルスの増殖が阻害された。シトリニンの100ppm溶液にタバコ葉ディスクを48時間浮かべた場合, TMVの増殖量は30%まで減少した。処理葉内のTMVの増殖率は処理時間を長くするにしたがって低下したが, 同葉内で増殖したウイルスの感染性は無処理葉内のそれと変わらなかった。またグルチノーザ葉内のTMVの増殖率を^<14>C-アミノ酸のとりこみてしらべた場合でも, 同様にシトリニン処理によって, ウイルスの増殖の阻害が認められた。シトリニンの感染葉における核酸合成に対する影響をMAKカラムクロマトグラフィーおよびディスク電気泳動法によって検討した。MAKカラムクロマトグラフィーのパターンから, シトリニンは感染タバコおよびグルチノーザ葉のsRNA, DNA-11keRNA, および18S rRNAのいずれの合成をも阻害しないが, TMV-RNAを含む28S rRNAの分画への標識ウリジンのとりこみを抑制することが示された。またディスク電気泳動法による分析の結果, シトリニンを低濃度で処理した場合でも, タバコ葉のRNA合成は幾分阻害された。シトリニンは低濃度でも28S rRNAの合成を抑制するが, 高濃度では28S rRNAおよびTMV-RNAの両合成を阻害することが結論された。75ppmのシトリニンはグルチノーザ葉上の局部病斑形成を完全に阻止するが, ウィルスの増殖を約50%しかおさえなかった。これらのことから, シトリニンの病斑形成に対する阻止効果はウィルスの増殖に対する効果よりも,むしろリボゾームの機能を抑制することと関係があるものと推定された。
- 1971-01-30
著者
-
片岡 正明
日本曹達(株)榛原農業研究所
-
安田 康
日本曹達(株)生物科学研究所
-
細辻 豊二
理化学研究所
-
野口 照久
日本曹達(株)生物科学研究所
-
野口 照久
帝人(株)
-
安田 康
日本曹達(株)小田原研究所
-
細辻 豊二
日本農薬学会
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