イネ白葉枯病の病態生化学的研究 : I. イネ白葉枯病菌の含硫アミノ酸代謝と発病機構
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概要
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1. イネの生葉および生根の含水メタノール抽出物の乾燥メタノール不溶分画中にイネ白葉枯病細菌増殖因子の存在を認めた。この分画のペーパークロマトグラフィは本病の罹病性あるいは抵抗性品種の間で差を認めなかった。2. 本田穂孕期のイネから同様の方法でR_f 0.1 付近から結晶性沈殿物を分離し,赤外分光および標準ペーパークロマトグラフィからシスチンであると認めた。3. 本菌の L-シスチン要求性は最小培地中,増殖度・濃度両軸対数グラフで 1〜10μf/ml の間で直線的関係がみられた。4. イネ植物体中のシスチン量は人工気象室内栽培のイネでは見掛け上イネ白葉枯病菌の増殖を支えるに足り,発病に関与しうる量であった。5. イネ植物体中の含水メタノール抽出物の乾燥メタノール可溶部からペーパークロマトグラフィにより2種の本菌増殖抑制因子の存在を認めた。6. 本菌のL-シスチン要求性はシスティン,ホモシスティン,メチオニンなどの含硫アミノ酸と代替可能であり,硫酸塩,亜硫酸塩,チオ硫酸塩,硫化物などの無機態硫黄は単独あるいはセリンの存在下においても代替不可能であった。またビオチン,チアミン,ビタミンB_<12>なども本菌の増殖を支えなかった。これにより本菌にはシスティン-メチオニン間およびシスティン-シスチン間の相互変換系の存在および無機態硫黄からの有機態硫黄合成能力の欠除が判明した。7. 上述より本菌は増殖に無機態硫黄を利用できないことからシスティンを要求し、イネ植物体中において増殖するためにも有機態硫黄が要求され,無機態硫黄からもシスティン合成系をイネに依存しているものと考えられる。
- 1965-01-30
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