ウドンコ菌の吸器に就て
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 本報告はウドンコ菌の吸器の發育, 構造と吸器嚢に就ての實驗, 觀察の結果である。 2. 分生胞子の發芽は生葉上では, 酒精で處理し水洗したタマネギの塊莖又は植物の葉の表皮上に於けるより劣る。この害作用は寄生の葉にも認められる。 3. 穿入菌糸の形成には植物細胞から滲出する物質の刺戟を要しない。 4. 外部寄生性のウドンコ菌の吸器は Erysiphe graminis 型と E. cichoracearum 型との2つに大別される。何れに於ても吸器の楕圓體の兩端に突起ができるが, 前者では突起が外方に向つて指状に伸び, 後者では囘旋しつゝ伸びて楕圓體の表面を蔽ふ。 5. 極めて若い吸器は寄主細胞の原形質と直接に接するが, 成長した吸器は透明な液體を含む吸器嚢によつて常に隔てられる。吸器嚢は最初一般に吸器の首部に近い所に現れ, 次第に先端に及んで, 吸器全體を取巻く。吸器の發育するにつれて膨張し, 球形, 楕圓形の緊張状態にある。 6. 吸器嚢は中性鹽類の溶液では菌, 寄主細胞が死んでも膨脹しその形は崩れないが, アルカリ性溶液, 無機酸には顯著な作用を受ける。多種の色素に染まる。7. 吸器が古くなると突起の構造が崩れ, 吸器嚢は膨張状態を失ひ, 後には吸器と寄主細胞の内容との境が見分けられなくなる。 8. キリンサウに寄生する菌の吸器嚢は寄主細肥の原形質の形成物と思はれる極めて厚層の褐色の物質で取巻かれる。
- 1937-03-30
論文 | ランダム
- 誌上ケース検討会(123)視力障害のあるひとり暮らし高齢者の生活をどう支えていくか
- 大腸癌の分子生物学 腫瘍内低酸素応答
- 転写因子を標的とした肝転移の治療戦略 (特集 癌の転移形成のメカニズムと治療戦略(第107回日本外科学会定期学術集会シンポジウムより))
- 武家政権で活躍、「学者」官僚たち--新井白石 荻生徂徠 室鳩巣 (特集 徳川幕閣 暗闘史--謎の老中・奉行・役人列伝) -- (特別企画 徳川十五代を「仕切った」幕閣の素顔)
- 難治性不整脈に対して経皮的心肺補助(PCPS)を施行し救命しえたトリカブト中毒の1例