オオムギうどんこ病における葉肉細胞崩壊のグルコースによる阻害
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概要
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オオムギうどんこ病菌 race I を接種したオオムギ (Turkey 290) 第1葉を用い, 崩壊葉肉細胞の形成およびうどんこ病菌々糸の伸長に及ぼすグルコース処理の効果を調べた。その結果, グルコースは, 崩壊葉肉細胞の形成を阻害し,その阻害効果は処理したグルコース濃度の増加 (0.05〜0.25M) に伴って増加した。また崩壊葉肉細胞の形成をもっとも効果的に阻害する時期は, 接種前1日または接種と同時, すなわち吸器形成以前にグルコースを処理した場合に認められた。接種後1日以降の処理は, 崩壊葉肉細胞の形成を阻害しなかった。さらに蛍光顕微鏡を用い, 表皮細胞および葉肉細胞における蛍光発現に及ぼすグルコース処理の効果を調べた結果, 表皮細胞の蛍光化は抑えず, 葉肉細胞の蛍光化のみが抑えられていた。以上の結果は, 吸器形成期に葉肉細胞の崩壊を誘導する作用が働き, グルコースがその作用の作動を抑えていることが示唆される。一方, グルコース処理したときの崩壊葉肉細胞の形成阻害と菌糸の伸長との関係を調べると, 両者間には相関性は認められなかった。また, 菌糸伸長の抑制は葉肉細胞崩壊が観察される以前にすでに認められるので, 葉肉細胞の崩壊は抵抗性の直接的原因でないと考えた。
- 1977-11-28