回収を遅延して行うガーベッジコレクションの実時間化について

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使用済みになったデータオブジェクトの回収を遅延させて行う圧縮型ガーベッジコレクション(mark-and-compact GC)の実時間化とその評価について述べる.回収の遅延とは最新に作られたオブジェクトが存在する領域の回収処理を次回に延ばすことであり,比較的短い生存期間のオブジェクトを圧縮処理から除くことができる.さらに,世代別GCに見られるようにGCを経たオブジェクトを殿堂入りさせると,ある上下限で規定される生存期間を持つオブジェクトのみが圧縮処理の対象となり,圧縮処理の軽減が図られることが停止回収型の実装から示されている.このGCの実時間化では,write-barrierを使用するsnapshot-at-the-beginningとオブジェクトの複製圧縮の各技法が使用されている.前者は,read操作の多い純計算側の負荷を確実に減らすとともに,最新のオブジェクトが未処理で残るような遅延GCにはむしろ効果的に機能する.後者は一度に圧縮するオブジェクトを移動先にその複製が作られる範囲に限定することで,圧縮処理中でのGCの中断を可能にする.GC回数の増加につれて,圧縮済オブジェクト群の領域と最新のオブジェクトを含む未処理のオブジェクト群の領域の間には1つの空き領域が生まれる.これが飢餓状態の回避に役立つ.評価実験は,GCと純計算側のmutatorをコルーティン化して行った.そして,数種のLispプログラムの実行結果に基づく本GCの評価を述べる.
一般社団法人情報処理学会の論文
2002-09-15

回収を遅延して行うガーベッジコレクションの実時間化について

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