ネットワーク・コミュニティにおける組織アウェアネスの計量と可視化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文では,ネットワークコミュニティの組織化プロセスやコーディネーションの支援について焦点をあてている.ここでいうネットワーク・コミュニティとは,自発的参加を前提として,情報の共有や編集を目的とする,境界が曖昧な組織を指す.また,表題の組織アウェアネスとは,対面性をともなう組織コミュニケーションで無意識のうちに伝わってくる,他者の存在や他者との関係,組織の存在や動態についての組織内外の人の認識を指す.本論文では,メーリングリスト(以下,ML)などのような文字ベースの非同期メディアによって支援されたネットワーク・コミュニティを対象とし,そこにおいて上述した組織アウェアネスが欠如している問題を議論する.そして,この組織アウェアネスをネットワーク・コミュニティの管理/運用/調整-コミュニティガヴァナンス-に応用する一手法を提案する.具体的には,1960年代頃より数理社会科学の分野で研究開発されてきた関係構造分析手法であるネットワーク分析(Social Network Analysis)を,現在,組織コミュニケーションツールとして最も普及しているMLに適用し,組織構造的指標を抽出する.そして,その抽出された組織構造的指標を独自に開発したNetwork Status Browser(以下,NSB)によって,ネットワーク・コミュニティの内外にフィードバックすることで,組織的アウェアネスの生成を助ける.なお,本研究では,NSBの評価を行うための資源収集を目的としてMLサービスを行い,実際に稼働する200程度のMLの中でNSBを1カ月半程度運用した.また,実験後にアンケート調査による定性的な評価とNSBの使用/不使用による各指標値への定量的な影響評価とを実施した.さらに,考察として,NSBによるネットワーク・コミュニティの分析や解釈の可能性を確認するために,MLの管理者と電子メールでディスカッションを行い,それを参考にしてMLの文脈(コンテクスト)によるNSBの構造的な解釈を行い,NSBによるネットワーク・コミュニティの分析や解釈の可能性を考察した.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1999-11-15
著者
関連論文
- エマージング・クライシスの政策課題
- 電子自治体とソーシャルキャピタル (特集 電子自治体と業務改革・住民参画)
- ローマへの道-ソーシャル・キャピタルと教育政策
- コミュニケーション創出基盤ActiveAvatar(マルチモーダルコミュニケーション,HCGシンポジウム)
- A-14-3 コミュニケーション創出基盤Active Avatar (3) : フィールド実験(A-14.ヒューマンコミュニケーション基礎,一般セッション)
- 都道府県レベルのための学力テスト分析システム:デザイン・開発・実施運用
- 学校行政へのオープンソース概念の適用 : Shared Questionnaire Systemによるカイゼン支援(セッション1)
- 学校行政へのオープンソース概念の適用 Shared Questionnaire System によるカイゼン支援
- カスタマイズ可能な調査スキーマの共有による学校評価支援(知識協創応用)(知の共有から知の協創へ)
- コミュニケーション・スキルとは何か
- 1J-6 実空間をブラウズするケータイによる街歩き支援の試み(情報システムの構築,一般セッション,コンピュータと人間社会,情報処理学会創立50周年記念)
- 1J-7 まちなか情報共有マップシステムを利用した地域コミュニティ活性化支援(情報システムの構築,一般セッション,コンピュータと人間社会,情報処理学会創立50周年記念)
- 学校行政へのオープンソース概念の適用 : Shared Questionnaire Systemによるカイゼン支援(セッション1)
- 市民まちづくりとNPO-その可能性と課題
- スポーツ組織マネジメントにおける地域コミュニティ戦略--Jクラブの事例研究
- ユビキタス社会における教育の可能性(大学と病院のIT革命,第329回例会)
- ユビキタス社会における新しい教育の可能性(特別講演「大学と病院のIT革命」,第329回東京女子医科大学学会例会,学会)
- 現場での努力と政策プロセスへの参画 (焦点 看護政策を成功に導く戦略--日本看護管理学会第7回年次大会・シンポジウムより)
- 市民と行政のパートナーシップの実現方法と効果の測定--横浜市パートナーシップ推進モデル事業を事例として
- 対談/加茂川幸夫 前文部科学省大臣官房審議官vs金子郁容 慶応義塾大学教授 〈教育特区〉で、学校教育の何が変わるのか? (特集2 〈教育特区〉であなたの学校は変わる!?)
- 解説 コミュニティ・スクール構想 (特集 学校改革への取組)
- 慶應幼稚舎ブランドは不滅か--vs金子郁容(慶應大学大学院教授) (教育のからくり--特別企画 和田秀樹連続対談)
- 慶應vs.早稲田 小学校の陣--ライバルか同志か?早慶小学校長が初顔合わせ
- ネットワーク・コミュニティにおける組織アウェアネスの計量と可視化
- コンピュータコミュニケーションにおける関係性の抽出とフィードバックおよびその影響の実証実験
- ITが教育になげかけるもの--地方分権・権限委譲を実現するコミュニティ・スクールを (特集 ITの喧騒を超えて--経済学で解くIT革命)
- 大座談会 今こそ教育ルネッサンス 子どもたちは「現世」を知らない
- S12-1 電子ネットワーク上のコミュニケーション行動の計量分析
- 慶應幼稚舎はこう変わる--慶應義塾幼稚舎長 金子郁容 (教育再生 私の提言 親たちよ!教師たちよ!--建前だけの議論はもう沢山。今こそ自らの体験に基づいた本音の教育論を語る時だ)
- 「暴力」をどう教えるか--競争を排除し、学校を無菌化する教育でいいのか (大特集 教育、教育、そして教育)
- 座談会 日本の大学の未来を語る--私立大学への期待
- 対談/教育改革のグランドデザインをどう描くのか (特集1 あらためて考える〈教育改革〉21世紀、学校教育はどこへ向かうのか)
- 「SFC外部評価」 をどう生かしてゆくか
- 分散コンポーネントによるコミュニティウェア基盤の実装
- インターネットによる情報コミュニティと共同知の形成にむけて
- 情報単位Captaを用いた情報流通システムRRRの設計と実装
- DK-3-1 阪神淡路大震災から東日本大震災までの情報通信による震災支援活動の変遷(DK-3.防災システム研究者と情報システム研究者の対話,ソサイエティ特別企画,ソサイエティ企画)
- DK-3-1 阪神淡路大震災から東日本大震災までの情報通信による震災支援活動の変遷(DK-3.防災システム研究者と情報システム研究者の対話,ソサイエティ特別企画,ソサイエティ企画)
- 公教育の構造改革・規制緩和の観点から(地方分権と教育経営)
- 内田英二先生から学んだこと