含意限定 : 非単調推論による高次推論の一形式
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概要
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新たな事実が導入される可能性のある環境では,論理的飛躍のあるいかなる推論も,無矛盾性を保つために非単調な性質を持たざるをえない.非単調推論として研究が進められてきた暗黙推論(default reasoning)のみならず,帰納的推論や類推等の高次の推論もまたその例外ではない.本研究は,様々な高次の推論を非単調推論としてとらえることによって,統一的に形式化することを目的とする.高次の推論の統一的形式化には,形式的な議論のもとで様々な推論の比較や考察を行える利点がある.形式言語を解釈する構造間にし好(preference)を表す順序を導入することによって,非単調推論は与えられた論理式を満たす「もっとも好ましい」モデル上での演えきとして形式化される.ここで提案する含意限定(ascription)は離散的なし好順序に基づいた形式化で,「Pであることが記されているものがすべてΨの性質を持っているならば,Pの性質を持つものはすべての性質を持つ。また逆に,Pではないことが記されているものがすべてΨの性質を持っていないならば,Pの性質を持たないものはすべてΨの性質を持たない」との考えを表したものである.含意限定は知的システムによる仮説生成などの高次の推論の形式化に適していると考えられる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-11-15