制御情報をもつ選言記述形式とその単一化
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概要
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本論文では選言的素性構造の記述形式である補強ENFとその上の単一化手法を提案する.単一化に基づく解析では,素性構造の選言をどのように記述し,またその記述形式上の単一化をどのように定義するかが効率を左右する.従来,KasperはKasper標準形という記述形式を提案した.単一化処理は選言の展開を回避あるいは遅延することで効率を上げる.しかし選言が展開される場合,選言要素間の無矛盾性の検査が起こり,この処理の効率が非常に悪い.一方,EiseleはENFという記述形式を提案した.この手法では単一化時に参照されない選言を展開しなくてよいため,上記の無矛盾性の検査がかなり減り,経験的にKasperの手法よりも効率がよい.しかしENFではKasper標準形のように,選言要素間の共通情報を明示できない.このため無駄な選言の展開が起こったり,選言の展開を回避するために行われる単一化に無駄な計算が生じる場合が多い.補強ENFは,ENFにKasper標準形の長所を取り入れたものであり,ENFの選言表記部分にその選言の任意の共通情報を付加できる.単一化ではまずこの共通情報との無矛盾性を検査する.これによって,選言の無駄な展開が減るとともに,選言の展開を回避するために行われる単一化も効率化される.また本手法はENFの特徴をそのまま継承するため,参照されない選言を展開することも回避できる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1993-12-15