(11)緑肥作物によるアズキ落葉病軽減要因の解析

概要

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アズキ落葉病の防除には輪作が有効とされ,特に,アズキの前作にトウモロコシや一部の緑肥作物を栽培すると病害が軽減されることが知られている.この現象には,微生物の関与が指摘されてきたが,本病と土壌栄養分に関する知見が少なく,演者らはこの点について検討を行なった.アズキ落葉病の発生圃場において,緑肥作物(野生エンバク他4種)を栽培し,その地上部を土壌中にすきこみ一定期間腐熟させた後,採取した土壌中の無機窒素濃度とアズキ落葉病の発病との関係を解析した.その結果,緑肥を1年間利用(栽培4ヶ月,腐熟8ヶ月)した試験では,NO_3-N濃度とアズキ茎内褐変率に有意な負の相関(r=-0.6711,y=-63.2x+132.6,P=0.006)が認められた.しかし,緑肥を3ヶ月利用(栽培2ヶ月,腐熟1ヶ月)した試験では,無機窒素濃度と落葉病の発病に相関が認められなかった.加えて,窒素源の異なる培地上のアズキ落葉病菌の分生胞子の発芽率を調査したところ,アミノ酸を添加したもので発芽率が最も高く,尿素を添加したものと比べ,有意に高い値を示した.なお,無機窒素間では発芽率に有意差は認められなかった.
2003-02-25