(8)アシベンゾラルSメチルによるナシ黒星病抵抗性の誘導
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概要
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非殺菌性の全身抵抗性誘導化合物アシベンゾラルSメチル(ASM)がキュウリの各種病害のほか,ナシ黒星病,赤星病の発生を抑制することを先に報告した.その後2000年〜2002年の3年間,農環研所内の果樹園で,ナシ(品種,'幸水')に4月の落花後から2週間間隔で合計4回ASMを散布して,黒星病に対する防除効果を調べたところ,ASMはいずれの年においても高い効果を示し,対照薬剤とも有意な差は見られなかった.また,単年度試験ではあるが,カルプロパミドやプロヘキサジオンカルシウム塩も同様の効果を示した.2002年の試験において,ASMの散布を2回に減じた区でも,4回散布区と同等の効果が得られ,薬剤散布回数削減の可能性が示唆された.ASMを散布した'幸水'の葉でも,クチクラ層直下に黒星病菌の菌糸が伸長し,抵抗性品種'巾着'や圃場抵抗性品種'南水'などと同様,菌の侵入自体は阻害されなかった.しかし,菌の接種により抵抗性品種に見られる速やかなカロース生成が,ASM処理した'幸水'でも顕著であり,これが抵抗性機構の1つとして働くものと推察された.
- 日本植物病理学会の論文
- 2003-02-25
日本植物病理学会 | 論文
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