縁辺地域における義務教育財政の特徴 : 島根県市町村中学校費を事例として
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概要
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戦後,農村を中心とする縁辺地域では過疎化の進展とともに小中学校の再編成が行われてきたが,義務教育サービスの経済的側面である義務教育財政の地域的特徴を探る研究は,経済地理学のみならず,地方財政学,教育財政学などにおいてもほとんどなされてこなかった.本稿は縁辺地域である島根県の市町村中学校費を例にとり,都市地域とのマクロな比較のからその特徴を捉えた上で,タイル尺度を用いて不均等度を測定することから,よりミクロな視点で縁辺地域における義務教育財政の地域的特徴を検討したものである.分析結果から次のような知見が得られた.(1)縁辺地域の市町村中学校費は都市地域との比較から,その推移に特徴がみられ,サービス享受者の変動には影響を受けずに変動している.(2)よりミクロに検討すると,過疎地域において単位人口あたりの市町村中学校費の不均等は増大している.その中でも,様々な付帯施設が必要なアクセシビリティの水準が低いグループにおいて不均等が大きい.また,人口規模では,「昭和の大合併」や中学校再編成が行われなかった町村が多い,最も人口規模が小さいグループで,近年になって中学校施設の更新に伴う不均等が目立つようになっている.(3)どのような空間分割において,いかなる特徴があるかを検討してみると,人口規模の均等化を目指した小選挙区に基づくグルーピングではグループ間の不均等度は小さくなる傾向がみられた.
- 経済地理学会の論文
- 2002-03-31
著者
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