793. 鮮新統穴内層 (四国) の貝形虫 : 群集解析
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概要
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四国南東部の沿岸に沿って点在して分布する鮮新統穴内層より得た35サンプルから42属79種の貝形虫化石が認定された(Ishizaki, 1983, 表1)。この表を素データマトリックスとして, Qモードによる主成分因子分析を行った結果は, 穴内層の貝形虫群集が, 基本的には, 4つのバリマックス群集(公海陸棚群集, 黒潮系群集, 湾口群集および沿岸流系群集)によって特徴づけられることを示す。堆積物の分析によって得られた粒径頻度分布および粒子の種類の相対比に基づいて主成分因子分析をした結果は, 水域環境の静穏さ, 沈積物の保存, 生物源物質の供給および陸源物質の供給を指示する因子を示唆する。堆積物と貝形虫についての因子負荷量, 種の多様性, 均衡度などの間の相関係数は, 種の多様性, 均衡度が堆積学的要因とはほとんど無関係で, バリマックス群集に固有なものであることを示唆する。第2バリマックス群集の種の多様性, 均衡度, 種数には地域性が明瞭に認められ, 当時の黒潮の営力の度合いの違いを反映しているものと考えられる。大野セクションにおいてみられる時間的変化も, 同様な水域環境の推移を示唆するものと考えられる。
- 日本古生物学会の論文
- 1985-04-30
著者
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谷村 好洋
Department of Geology, National Science Museum
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谷村 好洋
Department Of Geology National Science Museum
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石崎 国熙
Institute of Geology and Paleontology, Faculty of Science, Tohoku University
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石崎 国熙
Institute Of Geoenvironmental Science Faculty Of Science Tohoku University
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