膵β細胞のインスリン分泌経路におけるglutamateの分泌増強の作用機構 : 分泌顆粒放出を促進する代謝シグナルの生成
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概要
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グルコース応答性インスリン分泌経路におけるglutamateのインスリン分泌増強作用機構を明らかにする目的で,ATP感受性K^+チャネル(K_<ATP> channel)の閉鎖を介する経路(K_<ATP>依存性経路)ならびに介さない経路(K_<ATP>非依存性経路)でのglutamate添加によるインスリン分泌量を測定した。さらにK_<ATP>非依存性経路についてプロインスリンからインスリンヘのプロセシング機構に対するglutamateの影響を検討するとともに,K_<ATP>依存性経路についてpatch-clamp法を用いてK_<ATP> channel活性に対するglutamateの影響を直接的に検討した。単離膵ランゲルハンス島(膵ラ氏島)ならびにMIN6細胞において,glutamateの細胞膜透過性アナログであるdimethyl-glutamateはグルコースによるK_<ATP>依存性・非依存性経路を介したインスリン分泌を増強した。しかしながら,プロインスリンからインスリンヘのプロセシングに対しては影響を及ぼさなかった。patch-clamp法のcell-attached modeにおいてdimethyl-glutamateはK_<ATP> channe活性を可逆的に抑制した。一方,inside-out modeを用いた検討では,glutamateによるチャネル活性の抑制は認められなかった。以上の結果から,glutamateはプロセッシング過程に対し影響を及ぼすことはなく, K_<ATP>非依存性経路でのインスリン分泌を増強することが示された。またK_<ATP>依存性経路においてはglutamateの代謝過程により生じた因子によってK_<ATP> channelが抑制され,インスリン分泌が増強されるものと考えられた。
- 2003-06-30
著者
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