テナガエビの奇形2例

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概要

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岡山県の児島湖に生息するテナガエビの漁業生物学的研究のため,1979年4月から1980年3月までの1ケ年間,毎月地獄網と呼ばれる小型定置網による採集を行なった。調査総数は19,828個体で,それらの体長は12〜89mmであったが,この中に2個体の奇形を発見した。この種はもちろん,テナガエビ属の自然環境下における奇形については,これまでほとんど報告されていないので,ここに紹介する。これら2個体はいずれも雄で,一方の個体は第2歩脚のはさみが強く下方に曲っており,その他の節の長さや大きさに異常は認められないが,はさみ脚としての機能を正常に果しているとは思われたい。他の個体は2つに分かれている尾節の先端部を持ち,右側は棘と剛毛の数や長さが正常であるが,左側では棘だけが縦に列んでいるのみで,末端の剛毛も少ない。これら奇形の原因としては,従来から言われているように脱皮時や再生時に何らかの外圧を受けた結果であると思われる。
日本甲殻類学会の論文

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