「(アル/)イル」と「テイル」をめぐって : 韓国語との対照という観点から
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概要
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本発表では,日本語のアスペクトを表す形式「シテイル」と韓国語のアスペクトを表す形式「hako iss-ta」及び「hay iss-ta」をめぐって対照を行い,具体的には以下のような内容を明らかにした。(1)「イル」と「iss-ta」を述語とする文について,「動作の様態」を表す副詞類(「元気に」「じっと」「ぼんやり」と「cal」「kamanhi」「menghani」など)との共起関係について考察した。その結果,「イル」はこれらの副詞類と共起できないが,「iss-ta」は共起可能であるという事実が確認できた。このようなことから「iss-ta」のほうが,より動(詞)的な性質をもっていると考えられる。(2)項構造に「ニ格」や「ey格(日本語の「ニ格」にあたる)」が含まれていない動詞,特に「ものの無意志的な状態変化動詞」の「シテイル」形や「hako iss-ta」・「hay iss-ta」形を述語とする文を対象とし,「ニ格」名詞句と「ey格」名詞句との共起関係について考察した。日本語の場合は,「庭に猫が死んでいる。」のようなごく一部の表現にしか共起できないのに対し,韓国語の場合は,このような表現が極めて生産的である。(3)上記((1)と(2))の結果から,日本語の「シテイル」はかなり文法化が進んでいるのに対し,韓国語の「hako iss-ta」や「hay iss-ta」(特に「hay iss-ta」)における「iss-ta」には固有の語彙的な意味が強く残っており(つまり文法化が進んでいない),かなり存在文的な特徴を示すということを主張した。なお,このような主張内容は,従来の先行研究において指摘されてきた「韓国語の場合は,なぜ単純状態やパーフェクト相現在を「hako iss-ta」・「hay iss-ta」形で表すことができないのか」という問題を説明する際に有効であることについて指摘した。
- 2000-09-30
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