延徳本倭玉篇と大広益会玉篇・音訓篇立・第四類本との関係に就いて
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概要
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『倭玉篇』諸本の中で現存最古の『延徳本』(延徳三年<一四九一>写)に就いては、既に部首排列が『大広益会玉篇』と、注のうち万葉仮名のものは『世尊寺本字鏡』・『音訓篇立』との関連性が有り、かつ、巻末に増補されている「倭玉」とする独自の九部首は、『音訓篇立』・『第四類本』との関連性が認められる八部首と、典拠不明の「曽」部から成るとされている。この先行研究に対し、本稿では、『延徳本』の部首排列が『会玉篇』と対応する部分の掲出字排列は『会玉篇』諸本の中でも内閣文庫蔵十二行本の元版による事、注は殆どが、『音訓篇立』・『第四類本』に典拠を有する事、かつ、典拠不明とされた巻末「曽」部も、掲出字排列と注の点で『第四類本』の「弟」部と関連性が認められる事を論証する。そして、『会玉篇』・『音訓篇立』・『第四類本』の部首排列・掲出字排列の体系に基準を置くと、『延徳本』はそれらの一部しか採録しない不完全な字書である事を述べる。
- 2004-04-01
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