文献初出年と方言分布重心にみる標準語の歴史
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概要
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現代標準語形の地理的分布に関して,『日本言語地図』に現れた語形の地理的分布と文献初出年との間に顕著な関係があることを,分布重心法を利用した具体的分布地図の形で確認できた。『日本言語地図』の数値化データに因子分析・クラスター分析を適用した結果のグラフと,地理的分布パターンを分布重心法によって要約した日本地図とを照合し,さらに標準語形の文献初出年の情報をこのグラフと地図に記入することにより,標準語形成立に関する国語史的傾向を,具体的に示すことができた。近畿から関東への文化的中心地の移動が読み取れた以外に,かつて全国をおおっていた標準語形が近畿の(または各地の)新しい俚言形に追いやられる傾向も読み取れた。さらに,各地の新形(新方言)が標準語として採用されるには,地理的勢力以外に文体的上昇が必要であると,考えられる。以上のように多数の項目について総合的考察を試みた結果,標準語形の歴史的伝播過程を,模式図の形で表示できた。
- 2003-04-01
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