長承本『蒙求』平安中期点の声調体系
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概要
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長承三年識語本『蒙求』の漢字にほどこされている平安中期朱声点が、「九声体系」から変化した「八声体系」によって加点されていることをあきらかにする。本資料の声調体系の源流である九声体系とは、平声重・平声軽の軽・平声軽の重・上声重・上声軽・去声軽・去声重・入声軽・入声重の九種の声調を区別するものであり、そのうち、去声における軽重の区別を失ったものが、長承本『蒙求』平安中期点の八声体系である。日本漢音の中心的な声調体系である「六声体系」のほかに、平安時代初中期には、さらに多くの声調を区別する体系が存在していたことは先学によって指摘されていた。本資料は、実際の加点に基づいて、当時の漢音声調の一実態を知ることができるものとして貴重である。
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