多様なポンプシステムに回転機構で対応した人工肺の開発

概要

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〔緒言〕1997年より販売してきた人工肺の後継機種として,「使い易い],「血液に優しい」というコンセプトの下で,新たな人工肺を開発したので報告する.〔開発品の特徴〕1.使い易い:使い易さを実現するために,人工心肺回路の取り回しに対する柔軟性を追求した.人工肺部は,線対称の形状を基本にし,心肺装置に対して左右どちらでも不利が生じないよう工夫した.さらに,血液の入口ポートと出口ポートをそれぞれ任意の方向に回転する機構により,固定ヘッドローラーポンプ,分離ヘッドローラーポンプ,遠心ポンプ等の多様なシステムにおいて,1モデルで柔軟な人工心肺回路の取り回しが可能となった.静脈血リザーバ部は,静脈血人口ポート,サクションポート,急速充填ポート,マルチポートに回転機構を備え,様々な方向からのラインをスムーズに接続可能となった.さらに,静脈血入口ポートは,仰角35〜50度の可変機構を備え,最短な静脈血ラインの構成が可能である.陰圧脱血への対応も可能とした.また,専用のホルダーは,より自由度の高い配置が可能な機構を備えている.2.血液に優しい:血液への優しさを実現するために,血液流路のなめらかさを追求した.血液流路の角部や断面積の急激な変化は,溶血等の原因となることがある.人工肺部では,血液入口部や出口部等をなめらかな曲線で構成し,血液に優しい設計とした.熱交換部にはPET多管式を採用した.さらに,最大血液流量7L/minの人工肺として十分な性能を保ちながら,225mLの低プライミングボリュームを実現した.また,ガス交換部には好評を得ている,長時間使用可能なシリコーンコーティング中空糸を用いている.この中空糸は,なめらかな微細構造を持ち,空気と血液が直接接触しないようになっている.この他,ヘパリンコーティングタイプも検討している.〔まとめ〕より使い易く,より血液に優しい,新しい人工肺を開発した.
日本医療機器学会の論文
2003-04-01

多様なポンプシステムに回転機構で対応した人工肺の開発

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