材料の疲勞過程に於ける機械的性質の變化と疲勞の恢復に就て
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概要
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本文は金屬材料に繰返應力を與へた際の疲勞過程に於ける2,3の機械的性質の變化を測定し、且つ應力繰返の途中で燒鈍した場合の之等の性質の變化を實驗して、疲勞破壊進行の状況を探究し、併せて疲勞の恢復に關する根本概念を得やうとしたものである。一般に繰返應力が或程度以上大きい場合には、繰返數が少い間は單に加工硬化が表はれる。そのために例へば硬度は繰返數と共に大となり最大値に達する。更に繰返數が増すと今度は硬度は低下して遂に破壊が起る。この硬度の低下は微細な破隙の成長によるものである。このやうに疲勞破壊の過程、は單なる加工硬化と破隙の成長との2階程に分けることが出來る。次に一定應力を與へて疲勞過程にある材料を再結晶温度以上に加熱して再び前と同じ繰返應力の下に疲勞破壊を起さすと、最初の繰返數が少い間は燒鈍後の繰返數は處女材料のと大體等しくなる。即ち材料は燒鈍によつて完全に恢復する。然るに繰返數が或程度以上多くなると燒鈍後の繰返數は小となり材料は恢復しない。このやうに疲勞過程は燒鈍により完全に處女状態に恢復する硬化のみの階程と、恢復し得ない階程とに區分し得ることを知つた。
- 一般社団法人日本機械学会の論文
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