ウォーム齒車の試驗
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概要
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接線方向の送り装置のあるホブ歯切盤でテーパー・ホブの平行部を利用し半径方向の送りを以て歯切したウォーム歯車と、テーパー・ホブを用ひ接線方向の送りを以て歯切したものと、一枚の舞いカッタを用ひ接線方向の送りを以て歯切したウォーム歯車との三つに就き各々其歯形、円刻みの誤差を測定した。測定の便宜上試験用歯車はスロート・ダイヤメータを含む面で豫め二分して置き、その歯形は平歯車の持つベぎ理論上のインボリュート曲線を計算で求めた線圖と對照し且つ円刻みの誤差を測つた。更に此の合せ面から10.00mm離れた平面内に於ける同じ歯に就て三つの試験用歯車の歯形を測り且つ比較した。測定機は大阪溝口歯切工場備付の獨逸ツアイス社製歯車試験機で、同工場で多少改良を加へたものを用ひた。試験に供した歯車は同工場製の円刻み0.500″, 歯数35,右三重ねぢれ、リード・アングル14°, 並青銅製のものである。各試験用歯車とも測定の結果円刻みの誤差は各々±0.0214mm以内で且又歯形の狂ひもともに大體に於て著しい差異を認めなかつた。前記三つの歯切法とその方法によつて製作した各ウォーム歯車の精度との間の關係を明かにした。円刻み0.500″, リード・アングル14°, 右三重ねぢれ前後までのウォーム歯車で歯切法をやかましく言ふ必要がなく從つて高価なテーパー・ホブを使用して、長時間かゝる接線方向の送りによる歯切法は推奨すべきでないと言ひ得る。