引張り試験片切斷直前の内力(二次元的解)

概要

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比較的融解點の高い金属及合金材料(多結晶體)の引張り試験片の切断するまでの材質變化を考察し萎性となつた後の硬化度は變形に比例する。局部面積縮小部の各結晶の變形が不均等なることは金相上明かであるから内力の強さも均等でないし且つ各結晶の辷動變形の大なる爲に棒の横断面上には相當大なる誘導引張内力が外力と直角方向に生ずるものである。力學的考察で切断直前に於ける内力はσ_y, σ_x, τ_<xy>及τ_<yx>となるから茲に永久變形條件、内力釣合條件竝に外縁邊曲線條件より切断面及其附近の各點の内力の強さσ_x, σ_y, τ竝にσ_1,σ_2,τ_mを求むる算式を決定した。是に依つて切断面及附近の内力分布状態が明かとなるから切離と滑離の生ずる理由及位置が明かとなつた、又滑離面は最大剪断内力面に沿ふて拡るから単に傾斜面でなく傾斜曲面である。又誘導引張り内力の強さは試験片の形状及大小によつて異ることを明かにし幾何學的相似試験片でも大小によつて試験成績の異る理由が明かとなつた。且又常温加工及引張りの速さ等は試験片の面積縮小部の形状に影響を與ふるから本解法は其影響も考察し得る譯合である。
1931-01-18