ラットの抗原抗体反応による血中ヒスタミン量増加及び腹腔内肥満細胞からのヒスタミン遊離に及ぼす麗沢通気湯加辛夷の抑制効果
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概要
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麗沢通気湯加辛夷 (RKS) の抗アレルギー作用について検討するために, 能動感作ラットの抗原惹起による血中ヒスタミン量増加に対する影響およびラット腹腔内肥満細胞 (RPMC) からのヒスタミン遊離に対する影響を調べた。能動感作ラットに抗原を静脈内投与して全身性アナフィラキシー反応を惹起させた後の血中ヒスタミン増加量を測定してコントロール値とした。アゼラスチンおよびクロモグリク酸ナトリウム (DSCG) を比較薬物として用いた。RKSとアゼラスチンの経口投与はこの血中ヒスタミン増加を有意に抑制した。すなわち, RKS 50mg/kg投与の抑制率は17%, 100mg/kg投与は26%であった。ただし, RKS 500mg/kgの経口投与では有意な効果はみられなかった。アゼラスチン5mg/kg投与の抑制率は28%, 10mg/kg投与は29%であった。RKSとDSCGの静脈内投与も血中ヒスタミン増加を有意に抑制した。すなわち, RKS 0.1mg/kg投与の抑制率は33%, 0.5mg/kg投与は29%であった。ただし, RKS 2.5および10mg/kgの静注は有意の効果を示さなかった。DSCG 10mg/kg投与の抑制率は53%であった。また抗原抗体反応によるRPMCからのヒスタミン遊離をin vitroで調べ, RKSがこれを有意に抑制することを確認した。すなわちRKS 5×10^<-4>, 10^<-3>, 2×10^<-3> g/mlの抑制率は42, 71, 79%であった。以上の結果から, RKSは, アゼラスチン, DSCGと同様に, mediator遊離抑制作用を有する抗アレルギー薬であることが示された。
- 日本アレルギー学会の論文
- 1993-01-30