小児の免疫性疾患におけるs-IgA値 : 第2編 気管支喘息患児の唾液中s-IgA値について
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概要
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気管支喘息における局所免疫の役割を知るために, 著者は気管支喘息児の5歳から15歳までの男児39例, 女児27例の計66例について非発作時(n=46)と発作時(n=20)の唾液中の s-IgA 値を RIA 法で測定し, その値と臨床症状および唾液中の各免疫グロブリン値との関連性について検討し次の成績を得た.1)健常児の唾液中の IgG/Alb 比は0.95±0.40, IgA/Alb 比は1.44±0.57およびs-IgA/Alb比は0.64±0.37であり, その比はほぼ3:4:2であった.2)喘息児の唾液中の IgG/Alb 比および IgA/Alb 比は非発作時および発作時ともに対照群の比に比べ有意な差が認められなかった.3)喘息児の唾液中IgM値は非発作時では46例中39例(85%)で, 発作時では20例中14例(70%)で1.0mg/dl以下であった.4)喘息児の唾液中 IgE/Alb 比は非発作時の46例中11例(24%), 発作時の20例中10例(50%)の症例で高値であった.また喘息児の血清 IgE 値と唾液中 IgE 値とは相関しなかった.5)喘息児の唾液中 s-IgA/Alb 比は非発作時と発作時との間で有意な差は認められなかったが, ともに対照値に比してやや低下する傾向を示した(p<0.1).以上の成績より, 喘息児の唾液中のs-IgA値は概して健常児のそれに比して低下しており, これは局所免疫の機能低下を示すものと考えられた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1985-02-28
著者
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