各種腎炎における血清免疫グロブリンと補体に関する研究
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概要
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各種腎炎患者合計84名について, 血清の IgA, IgG, IgM および β_1C/_1A を Partigen 法で, CH50 を Mayer の方法で測定し, 次の結果をえた.1.急性腎炎の初期に IgA は有意に増加した.一方, 急性腎炎の経過と IgG の動きをみると, 腎炎発症後第3週から第7週にかけて IgG は増加の傾向を示した.2.急性腎炎の β_1C/_1A は初期, 回復期ともに有意に低下していた.とくに第1週でその低下は著明であり, 第4週以後には正常に復する傾向がみられた.また CH50 と β_1C/_1A との間に正の相関がみられたことより, CH50 のかわりに β_1C/_1A を測定することは急性腎炎の診断および予後を判断するのに有意義である.3.慢性腎炎では潜在期, 進行期に IgA は増加し, とくに進行期にその増加は著しかった.慢性腎炎が進行するにつれて, β_1C/_1A は低下の傾向を示し, 腎不全期には β_1C/_1A は有意に低下した.慢性腎炎におけるこの β_1C/_1A の変化は, CH50 の動向とは異なるもので慢性腎炎進行の判定に役立つものと考える.4.ネフローゼ症候群の IgG は全例減少し, IgA は慢性腎炎の他の時期に比して減少した.5.ループス腎炎の活動期, 非活動期を通じて IgA および IgG は増加した.活動期, 非活動期を通じて β_1C/_1A は低下した.ループス腎炎において CH50 と β_1C/_1A との間に正の相関がみられた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1972-11-30
著者
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