実験的アレルギー性脳脊髄炎に関する研究 : 蛍光抗体法を中心として
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概要
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実験的アレルギー性脳脊髄炎(以下EAE)に関し, 1933年Riversの報告以来免疫学的, 病理組織学的に検討が加えられ, また多発性硬化症その他脱髄性脳疾患, 狂大病ワクチン接種後脳脊髄炎とEAE間の異同に関し種々論議がなされている.それに伴いEAE発症因子に関し, 体液性因子, 細胞性抗体に対する検索も方法論の進歩に伴いEAE発症機作の解明に光明がさしてきた.すなわちPaterson等のリンパ組織細胞のpassive transferによる, EAEの発症に関する細胞抗体の占める意義についての研究, またBornstein等の培養神経線維に脳感作動物血清を添加することにより, 髄鞘の変性をきたすことによる, 血清中のEAE発症因子の検索等がその代表的なものだろう.また病理組織学的に脱髄が血管炎によるものか, また二次的にきたし得るものなのか等についても種々論議がなされてきている.私は自己免疫疾患とあいまつて, 臓器感作により, 標的臓器に確実に病変と起こし得るものとして, 脳脊髄を選び, 何ゆえにこの種の病変を起こさしめるかを究明せんがために種々の方法を用い, アプローチを試み, 次のごとき結果を得た.1. モルモット脊髄+Freund's complete adjuvant乳剤を同種に注射することにより, 高頻度に臨床症状の発現を見, 注射後14日以降の脳病理所見に100%の血管系病変を認めた.他臓器には特記すべき所見を認めなかつた.2. 感作動物の血中抗脳抗体価をタンニン酸処理赤血球凝集反応ならびに免疫拡散法にて検索し, 抗脳抗体が異種感作の場合明らかに出現することを認めたが, 同種感作の場合は検出できない場合が多く, EAE病理所見とは相関関係を認めなかつた.3. FITC標識抗モルモット脊髄ウサギ血清を作製し, 種々固定液を用い, 脳, 脊髄凍結切片上の染色性につき検討し, methano1, ethano1固定が髄鞘ならびに細胞の染色に至適であることを確認した.またaceton固定において, 他諸臓器と比べ脳脊髄血管が強く染色されることを見いだした.4. FITC標識抗モルモットγ-Glを用い, 経時的にモルモット脊髄感作モルモットの脳脊髄中のγ-Glの局在について検索し, 病理組織学的所見が顕著になる前に脳血管壁にγ-Glの局在を証明した.5. モルモット脊髄+Freund complate adjuvant注射後早期のモルモット血清の受身移入を種々施行したが, 脳脊髄に顕著なEAEの発現を認めなかつた.
- 1972-04-30
論文 | ランダム
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