日本学術振興會第 29(精密機械特に工作機械)小委員會における研究(第 3 報) : 歯車に関する研究(第 2 報) : (その 3)インボリュート歯車の二三の觧析法に就て
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概要
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近時インボリュート轉位歯車を使用することが次第に廣まつて耒たが、それに従て歯車の寸法も稍々複雜化し従耒交換性歯車系を使用してゐた状態と異なり、與へられた一つの歯車をスケッチするにも、その外径、歯の丈等所謂呼称寸法を測るだけではその目的を達し難いのである。本研究の目的はなるべく簡單な測定具を使用し、これら與へられたインボリュート轉位歯車の歯形を決定すべき定数を求め、その歯車の噛合性能(例へば辷り率、同時噛合率等)を知ると同時にその歯車を創成する工具の寸法並に歯切寸法(特に轉位係数)を明らかにする二三の方法を提供することである。研究の対象としては(1)インボリュート平歯車、(2)内歯々車、(3)はすば歯車、(4)傘歯車(直歯)を選び、測定具としては歯形バーニヤ・マイクロメータ又は測長機及びローラ又はボールを選び、測定法としては(a)歯厚法、(b)ローラ法、(c)歯形バーニヤ法と仮りに名づけた方法を提案した。本方法に依る実測の結果並に測定に依る誤差発生の理論的算定に依れば、(a)歯厚法は計算極めて簡單であるが誤差の大なるを免れない。(b)ローラ法は測定法簡單にして、且測定精度は高いが計算法稍々複雜の嫌はある。(c)歯形バーニヤ法は大寸法、且歯数多き場合に測定し易い利点があるが計算法の複雜さはローラ法程度で、精度は適當な高級測定具が無いためローラ法より稍々低いことが判つた。後の(b)(c)2方法に依れば歯形の非対称性誤差はその測定性質上判らないが、被試驗歯車を切削した歯切工具の左右平均の圧力角誤差並にインボリュートからの偏差を求めることが出耒、且歯末修正の有無も歯車試驗機を用ひずに簡單に判明し得るのである。約言すれば、未知の歯車の歯形を觧析する場合、目的が普通のスケッチ程度であるならば(a)歯厚法で充分であり、若し更に歯形誤差迄も嚴密に知り且歯車の噛合性能迄も檢討するには(b)のローラ法を採用すべきであり、被檢歯車が極めて大形で測長が困難なる場合には(c)の歯形バーニヤ法が適してゐると思ふ。
- 1942-04-30
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