低質炭を使用する場合の蒸汽機關車罐の性能試驗
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概要
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蒸汽機關車の汽罐に使ふ燃料は, 在來は發熱量7000kcal/kg程度の良質石炭であつたが, 最近は5000∿5500kcal/kgの低發熱量石炭を實際に使つてゐる.從て今迄の諸計畫の根幹としてゐた6000kcal/kgの石炭に對する計算も實際上使へなくなり, 更めて低質炭に對する基礎資料を求めることが必要となり, 表題の如き試驗を行つた.低質炭としては發熱量4000, 4500及び5000kcal/kgの3種を擇んだ.供試機關車は國有鐵道D51形式にして, 試驗は室外の線路上運轉にて行つた.その結果判明せること次の如くである.(1)發熱量の低い石炭ほど燃え難い.燃焼だけからみた場合, 石炭發熱量5000, 4500及び4000kcal/kgの各炭種に對する最大燃焼率は夫々750, 650及び550kg/m^2・hの如くである.(2)低質炭の燃え難いのは水分による影響が大きく, 撒水量その他に注意を要す.(3)試驗は600∿900kg/m^2・hの高燃焼率に對して行つたが, 罐効率は58∿40%程度である.(4)火格子上に投込まれる石炭の含む熱量が同じならば, 罐効率従て發生蒸汽量は低質炭ほど低い.(5)低質炭は灰を多量に含むために, 短時間で灰が貯積し, 給汽運轉中にも火床整理を行ふ必要があり, この目的で動力による火格子搖動機構が望ましい.更に灰箱容量の増加と灰の處理方式とを考へる必要がある.
- 1947-02-25