低質炭を使用する場合の蒸汽機關車罐の性能試驗 : 第2報
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概要
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蒸汽機關車の汽罐に低質炭を使用した場合の性能試驗を機關車定置試驗室にて行つた.國内の石炭需要状態に基ずき,前記目的に使用する石炭の質が漸次粗惡となり,鐵道關係者としてはこの惡い石炭を如何に使いこなすかにつき種々の努力を致し,昭和19年9月には線路上試驗を行つたが,さらに精しい試驗を必要とし本試驗を行つた.供試石炭は發熱量4240kcal/kg,灰分37.2%の木屋瀬P炭(九州炭)にして機關車はD51形式を使つた.この試驗の結果,つぎの事項が判明した.1.火格子上の石炭層の厚さはなるべく薄くする.2.低質炭を燃すためには良質炭よりも通風力を強くすることが必要である.D51形機關車にては丸形吐出筒口の内徑145mmの場合6500kg/hの蒸發量であつたが,内徑を135mmに縮小して通風力を強めることにより8000kg/hに増大出來た.3.石炭はなるべく撒水を避けるのがよい.4.本試驗で求めた連續最大蒸發量は8t/h(連續運轉時分40mn)にして標準石炭の場合の9t/hに比して少い.前例における最燃燒率は900kg/m^2・hである.5.給氣運轉中にも火格子上から灰を落すために搖火格子を使用することが必要である.この目的には本文に記載する自動式搖火格子装置の使用が望ましい.6.低質炭は灰分を多量に含む故,クリンカを發生し勝で,焚火に特別の注意を要する.7.火室内の煉瓦アーチの長短による優劣は判然としない.
- 1947-06-20