心不全患者における僧帽弁B-B'stepの成因と意義に関する研究
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概要
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僧帽弁エコー上のB-B'形成(B-B')は左室拡張末期圧(LVEDP)上昇を示す所見として重要視される。今回著者らはドプラーエコー法を用いると共に血行動態の観察によりこの異常弁運動の成因と意義に関する検討を行なった。 [対象,方法] 心エコー検査上B-B'のみられた心不全患者20例(B-B'(+)群〉を対象とし,心エコー,心力テーテル両検査の施行されたB-B'の無い心不全患者20例(B-B'(-)群〕を比較対照した。NYHA心機能分類,Mモードエコー図上の左房径(LAD),B-B'持続時間(BB'T),パルスドプラー図上の急速流入期最大速度peakR,心房収縮期最大速度peakA,その減速度(ADcR),peakAとpeakRの比A/R,左房前駆出時間(APEP),左房駆出時間(AET)心カテーテル上左室圧曲線a波の立ち上がりからそのpeakまでの上昇圧(LVa),LVEDP,肺動脈模入圧(PCWP)を測定した。また,心不全治療によりB-B'の消失した10例ではその前後でパルスドプラー諸指標を対比した。その結果を次に示す。(1) B-B'(+)群は(-)群に比しNYHA重症度,LAD,LVa,LVEDP,PCWPが有意に大,APEPは有意に短縮していた。(2) BB'TはpeakA,ADcR,APEPとの聞に有意の逆相関を示した。(3) 心不全治療によるB-B'消失後peakRは減少,A/R,peakA,APEPは共に有意な増大を示した。以上より,B-B'の発現には左室拡張期圧の上昇と左房駆出との不均衝より生ずる異常な左室流入動態が強く関与しており,うっ血性心不全の進展過程を示す所見としての意義を有するものと見なすととができる。
- 神戸大学の論文
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