フォトクロミック特性に対するガラス組成の影響
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概要
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各種のガラスについて銀イオンの安定性とフォトクロミズムの発現との関係を調べた. 更に, アルミノホウ酸塩ガラスにおいて, フォトクロミック特性に対するガラス組成の影響を検討した.ソーダ石灰, アルミノホウ酸塩, アルミノホウケイ酸塩, 鉛ホウ酸塩及びリン酸塩ガラスからなる種々のガラスについて, 銀がイオンとしてガラス中に安定に存在するかどうか調べたところ, 非架橋酸素イオンが存在するような組成のガラスでは, 銀はイオンとして不安定で, 容易に銀原子に還元されることが分った. ただし, リン酸塩ガラスは例外で, 非架橋酸素イオンが存在しても, P-O結合の酸性度が高いために, 銀はイオンとして安定であった. 銀をイオンとして安定に含むガラスにハロゲンイオンを共存させると, ハロゲン化銀結晶が析出し, フォトクロミズムが現れることが分った.(85-x)B2O3・15Al2O3・x(4CaO+Na2O) (x=10-50) の組成のガラスにおいて, フォトクロミック特性, すなわち暗化度と半退色時間をアルカリフラクション (AF)=(R2O+RO)/(R2O+RO+R2O3) の関数として調べた結果, 非架橋酸素イオンが生成し始めるAF=0.333付近で, フォトクロミック特性は大きく変化した. すなわち, 暗化度は非架橋酸素イオンが存在しないAF=0.1-0.25では大きい変化を示さないが, 非架橋酸素イオンが明確に存在するAF=0.40以上では, ハロゲン化銀結晶が析出しにくくなり暗化は起こらず, AF=0.33付近で極大を示すことが分った. 退色時間はAF=0.1-0.25では比較的小さいが, AF=0.3付近からAFが増すにつれて急激に長くなった.
- 社団法人日本セラミックス協会の論文
- 1980-08-01
著者
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