ハロゲン化銀を含むアルミノホウケイ酸塩ガラスにおけるフォトクロミック特性のガラス組成依存性
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概要
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アルミノホウケイ酸塩フォトクロミックスガラスの飽和暗化度と半退色時間に対するガラス組成の影響を検討した.SiO2量を60mol%に固定してアルカリフラクション (AF)=(R2O)/(R2O+R2O3) (ここで, R2OはLi2O及びK2O, R2O3はAl2O3及びB2O3を示す) を0.1-0.6の範囲で変化させた系において, 飽和暗化度は, 非架橋酸素イオンの存在しないAF=0.1-0.35の範囲でAFの増大とともに次第に増大し, 非架橋酸素イオンが生成し始めるAF=0.43付近で極大に達した. 更にAFが大きくなると, 再び暗化度は減少した. 半退色時間は, 非架橋酸素イオンが生成し始めるAF=0.43付近から急激に長くなった. AFが0.45以上の組成では, 多数の非架橋酸素イオンが存在するために, ハロゲン化銀が析出せず, ガラスはフォトクロミックとならなかった.SiO2を60mol%, AFを0.3に固定してB2O3とAl2O3を置換した系では, いずれの特性も余り大きく変化しなかった.AFを0.35に固定してSiO2を70-40mol%の範囲で変化させた系において, SiO2が40mol%の組成で少数の非架橋酸素イオンが形成され, 弱い銀コロイド着色を生じたが, ハロゲン化銀結晶も析出した. 飽和暗化度は, SiO2が70-60mol%の組成ではほとんど同じであるが, 非架橋酸素イオンが生成し始めるSiO2=50mol%の組成で極大を示した. SiO2が更に減少して40mol%の組成では, 暗化度は再び減少した. 半退色時間は, 非架橋酸素イオンが生成し始めるSiO2=50mol%付近から急激に長くなった.このようにハロゲン化銀が析出してガラスがフォトクロミックとなるかどうか, またフォトクロミズムを示すガラスの飽和暗化度と半退色時間はガラス中の非架橋酸素イオンの濃度に関係づけられることが分った.
- 社団法人日本セラミックス協会の論文
- 1980-09-01
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